この章から第5部「AIコラボレーション」が始まります。
これまでの4部ではObsidianそのもの——導入、設定、執筆、公開の方法について解説しました。このパートではもう一方の側面、つまりClaude CodeやCodexといったローカルファイルを直接読み書きできるAIツールと連携することで、あなたのObsidian Vaultが単なる自分用のノートブックではなく、AIが直接作業できるワークベンチにもなることを扱います。
本章ではまず、難易度と自動化の度合いが異なる3つの方法を紹介します。
- 最もシンプルな方法:AIにファイルパスを直接渡し、元のファイルを読ませて処理させる
- Obsidian CLI:ファイルを直接読むより効率的で、Vaultに多数のファイルがある場合に適している
- スキル:ワークフロー全体を1つのコマンドに固め、完全自動化する
AIにファイルパスを直接渡す
これが最もシンプルな方法です。プラグインもCLIの知識も必要ありません。
ここで言うAIとは、DeepSeekやChatGPTのようなWebベースのチャットインターフェースではなく、Claude CodeやCodexのようにローカルファイルを直接読み書きできるツールを指します。
Claude CodeやCodexにファイルのフルパスを渡すだけで、そのファイルを読み込み、元のファイル上で直接処理できます。例えば:
- 「このノートの要点をまとめて:
/Users/yourusername/Documents/Obsidian/01Notes/some-note.md」 - 「この記事を英語に翻訳して、元のファイルを上書きして」
- 「この下書きの誤字脱字や論理的な問題をチェックして、修正して」
AIはファイルの内容を読み、あなたのリクエストを理解し、修正した内容を書き戻します。要約、翻訳、推敲、フォーマット調整といった単発のタスクはこの方法に適しています。
ハードルは極めて低く、すぐに使い始められます。唯一の欠点は、毎回リクエストとパスを手動で指定しなければならないことで、たまに使う程度なら問題ありません。
Obsidian CLI
ファイルパスを直接渡す方法でも動作しますが、Vaultにファイルが増えてくると、AIが闇雲にファイルをスキャンするのは遅くなり、結果の精度も落ちます。そこでCLIの出番です。
Obsidianを最新バージョンにアップデートすると、CLIインターフェースが利用可能になり、AIがコマンド経由で直接Vaultを操作できるようになります。
「AIはもう直接ファイルを読めるのに、なぜCLIが必要なの?」と疑問に思うかもしれません。
例え話をしましょう。あなたのObsidian Vaultは何百冊もの本がある図書館のようなものです。
CLIなし:AIが情報を探すときは、書架の間を探し回って一冊ずつ本をめくるか、あなたが「3列目の2番目の本を見て」と教えるしかありません。
CLIあり:図書館に検索システムが導入されます。AIがトピックを入力すると、システムがどのファイルが関連しているか、どこにあるか、ノートにどんなキーワードが含まれているかを直接教えてくれます。さらに、新しいファイルの作成、プロパティの更新、フォルダ間のコンテンツ移動も可能です。
効率の差は歴然です。Vaultにファイルが多くなればなるほど、CLIの有無でAIの情報検索の精度と速度はまったく異なります。
使い方
最もシンプルな方法:会話の中でAIにCLIを使うよう直接指示することです。
例えば、AIにノートを整理してもらいたい場合、「Obsidian CLIを使って、01Notes/フォルダ内のXXXに関するコンテンツを検索して」と言うだけで、AIはobsidian searchコマンドを呼び出して情報を取得し、闇雲にファイルをスキャンすることはありません。よく使うコマンドは次の通りです:
- コンテンツ検索:
obsidian search vault="OBSIDIAN_VAULT" query="キーワード" path="01Notes" - ファイル読み取り:
obsidian read vault="OBSIDIAN_VAULT" path="04Output/filename.md" - ノート作成:
obsidian create vault="OBSIDIAN_VAULT" path="target-path.md" content="..." - フォルダ一覧:
obsidian files vault="OBSIDIAN_VAULT" folder="04Output"
これらのコマンドを覚える必要はありません。やりたいことをAIに伝えれば、AIがどのコマンドを使うかを選択します。
さらに便利な方法は、これらの操作をスキルに固めてしまうことです。スキルの中で、どの操作をCLI経由で行うかをあらかじめ定義しておけば、AIは自動的にスキルのルールに従い、毎回指示を出す必要がなくなります。私の微信公衆号(WeChat Official Account)執筆スキルはまさにこの仕組みで、obsidian searchで資料を検索し、obsidian createで記事を出力し、obsidian property:setでプロパティを設定するよう指定しています。AIがこのスキルを実行するたびに、追加の指示なしで自動的にCLIを使ってVaultを操作します。
スキル:ワークフローを1つのコマンドに
CLIで「探す」問題は解決しましたが、それでも毎回手動で要件を伝える必要があります。決まったワークフローがあるなら、それをスキルとして書き、後は1つのコマンドでプロセス全体を実行できるようにしましょう。
まずスキルとは何かを説明します。簡単に言えば、あらかじめAI向けに書いておく固定のスクリプトです。ルール、ワークフロー、フォーマット要件をすべて含めておきます。そうすれば、コマンドを発行するたびにAIがこのスクリプトに従って動作し、繰り返し説明する必要がなくなります。Claude Codeを使ったことがあれば、スキルは/skill-nameコマンドに相当します。
以下は、私がスキルを使ってObsidianファイルを処理しているいくつかのシナリオです:
動画からテキストへ:Bilibiliやローカルの動画から音声を抽出し、テキストに書き起こし、Obsidianノートに整理して、受信フォルダに直接ドロップします。
双方向リンクの追加:新しいノートを書いた後、AIに既存のノートをスキャンさせ、関連コンテンツに[[双方向リンク]]を追加し、情報ネットワークを編み上げます。
記事の執筆:トピックを与えると、AIが資料を検索し、トピックの方向性を確認し、私の文体を学習し、下書きを書き、レビューしてAI臭さを減らし、画像を追加し、最終的に記事を04Output/フォルダに出力します。
校正とファクトチェック:完成した下書きをAIに渡し、段落ごとに誤り、論理的な問題、検証すべき主張をチェックさせます。
これらのタスクは以前は手作業で行っており、散在していて時間がかかりました。スキルを使えば、1つのコマンドでAIがプロセス全体を実行し、重要なポイントでの確認だけが必要です。
概念だけでは抽象的すぎるので、具体的なスキルの例を見てみましょう。
私は04Output/フォルダ向けに微信公衆号執筆スキルを作成しました。テーマ選びから公開までの執筆プロセス全体をカバーしています。その動作は次の通りです:
ステップ1:トピックを見つける。 AIがReddit、Hacker News、Xで最近のAI、金融、テクノロジー分野のホットトピックを検索し、いくつかの候補トピックをリストアップして選択してもらいます。
ステップ2:資料を検索する。 トピックが確定したら、AIが自動的に過去2年分の関連情報を検索し、ナレッジベースファイルに整理して保存します。
ステップ3:方向性を議論する。 AIが3~4の執筆アングルと対応するアウトラインを提示し、選択してもらいます。確認が取れてから次に進みます。
ステップ4:スタイルを学習し下書きを書く。 いくつかのモードから選択可能:自分の公開済み記事を読んでスタイルを学習する、九辺や華術などの著者のスタイルテンプレートを適用する、特定の記事を指定してその場でスタイル特徴を抽出する。スタイルを学習した後、下書きを書きます。
ステップ5:レビュー。 3回のチェック:内容の正確性、AI臭さの低減(「注目すべきは」「エンパワー」「まとめると」などのフレーズを置き換え)、文や段落の細部の推敲。
ステップ6:画像を追加して公開する。 画像プレースホルダーを挿入し、必要に応じて微信公衆号の下書きボックスに直接プッシュします。
プロセス全体で、AIはObsidian CLIを使ってフォルダを操作します。既存のノートを資料として検索し、ブリーフやナレッジベースファイルを指定ディレクトリに保存し、最終記事を04Output/に出力し、frontmatterプロパティを設定します。ファイルを手動で移動する必要は一切ありません。
以下のスクリーンショットは、私がAIに執筆コマンドを発行したときの様子です:

これは04Output/フォルダ向けの一例です。どのフォルダに対しても独自のスキルを作成できます。読書ノートを整理するスキル、ミーティングノートを要約するスキル、日記をレビューするスキル……「このフォルダでAIに何をしてほしいか」を明確に記述できれば、それをスキルとして書くことができます。
この微信公衆号執筆スキルはオープンソース化しています。必要な方は私のブログから直接ダウンロードできます:https://blog.discoverlabs.ac.cn/downloads/writing-gongzhonghao-skill/
まとめ
今日学んだこと:
- 最もシンプルな方法:AIにファイルパスを直接渡すだけで、元のファイルを読み込んで処理できる——要約、翻訳、修正も可能
- Obsidian CLI:Vaultにファイルが多くなった場合、CLIによってAIに「図書館の検索システム」が与えられ、より正確かつ高速に情報を見つけられる
- スキル:決まったワークフローをスクリプトとして書き、1つのコマンドでプロセス全体を実行。繰り返し発生するワークフローに最適
ポイント:
- 3つの方法は難易度と自動化の度合いが異なるので、ニーズに応じて選択する
- CLIとスキルの組み合わせこそが、AIとObsidianの真の深い統合である
- スキルをゼロから書く必要はなく、AIに書かせてもよい